便潜血検査陽性は警告サイン!

2025.08.19

「便潜血検査陽性は警告サイン!」

 会社の健康診断や地域での検診で「便の潜血検査」を受けられる方も多いのではないでしょうか。この検査は「大腸癌検診」として位置づけられていますが、症状が出る前に大腸癌を少しでも早く発見することが目的とされています。
ただ、陽性だからといってすべての方が癌というわけではありませんので、「正しい知識を持って正しく恐れ、きちんと検査を受ける」ことをお勧めします。

当院で2021年4月から2023年3月までの2年間に便潜血検査が陽性となって大腸検査をした方を調べたデータがあります。併せて同時期に、肛門症状を訴えてこられた方と比較していますのでご紹介します。

          便潜血陽性群(260例)       肛門症状群(316例)     

  痔疾患      230例(88.5%)    289例(91.5%)

 大腸ポリープ     81例(31.2%)     13例( 4.1%)

  大腸癌          8例( 3.1%)         5例( 1.6%)    

この2年間はちょうどコロナ禍と重なっていましたので、患者さんの数が少なくなるのではないかと懸念されましたが、それでも総数576例の検討になりました。表に示しましたように、便潜血陽性群と肛門症状群で共に内痔核などの痔疾患が9割を占めていました。案外ご自分で気が付いておられない「痔主さん」が多いということになります。これが、便潜血陽性となったからといってむやみに怖がらなくても良い理由です
次に多いのが大腸ポリープですが、実際にポリープから出血することは少なくこの検査で偶然に発見されたということになります。ポリープは将来癌になる可能性も言われていますので、この機会に切除することで癌の予防になると考えられています。
今回発見されたポリープはすべて内視鏡的に切除していますが、全て良性の段階で治療ができていました。
 最後に「大腸癌」ですが、便潜血陽性群では3.1%、8人の方で発見されていました。
一方、肛門症状群では1.6%、5人の方で発見されており、便潜血陽性群で約2倍の発見となっていました。
 そのうえで、発見された癌ですが、便潜血陽性で発見された8例の方では良い時期の方が多く、治療し現時点で7名(87.5%)の方がお元気でおられます。
一方で、肛門症状を訴えて来院され発見された5例の大腸癌の方では進行した癌が多い傾向がありました。こちらも、手術を行って5名中4名がご存命ですが、抗がん剤などの治療が必要でした。

日本消化器がん検診学会や日本消化器内視鏡学会などでも、同様の結果が示されています。
検査を受けて陽性になった場合には、無用に怖がらないで、ぜひ大腸検査を受けられることをお勧めします。

 なお、大腸検査には「全大腸内視鏡検査」と「S状結腸内視鏡検査と大腸レントゲン検査の組み合わせ」の二通りのやり方がありますので、日程やご希望に合わせて選んでいただくことができます。

 詳しくはスタッフにお気軽にお尋ねください。                              

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