医療法人[社団]寺田病院
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病院だより

麻酔のお話

 手術に必要なのが麻酔です。外来でのちょっとした処置から大きな手術まで、程度の差はあっても麻酔は必要です。手術を支える裏方でもあり、実は手術の成否を握る重要なポイントなのです。ここでは、麻酔に関するご紹介を行いましょう。

1. 局所麻酔

通常、比較的小さな手術で用いる麻酔です。局所麻酔薬を注射器に吸って患部や処置を行う場所に注射して使用します。内視鏡検査などではのどの麻酔のためにゼリー状の麻酔薬や噴霧状の麻酔薬もあります。筋肉痛などに使う塗り薬も一種の局所麻酔剤が用いられているものもあります。注射で用いる場合には、案外広い範囲の麻酔も可能で、熟練した医師が使うと少量でも十分な麻酔効果が得られます。

2. 硬膜外麻酔

耳慣れない名前だと思いますが、当院では腹部手術の際の術中・術後の痛みの軽減のために利用しています。これは、手術で切るお腹の壁の表面に分布する知覚神経の根元に痛み止めの薬を送り込んで痛みを止めようとする方法で、神経ブロックのテクニックのひとつです。送り込んだ細いチューブから麻酔薬を少しずつ24時間続けて送り続けます。この麻酔を行うと、通常の痛み止めを使う量が2分の1から10分の1程度までに減らすことが出来ています。お腹を切った痛みのピークは術後2、3日目と言われており、当院では念のため術後4、5日目まで使用して終了しています。この麻酔では運動神経は正常に保たれており、動くことには支障ありません。
 特に以前に手術を受けたご経験のある患者様では違いが分かるため「今回はあまり痛まずに、ずいぶん楽だった」とのご評価を戴いています。
 なお、この麻酔は癌末期の方で癌性疼痛のためにお悩みの方にもその痛みの場所によっては、痛みを和らげることが可能なため、そのような患者様が居られた場合には使用を考慮しています。

3. 腰椎麻酔

腰椎麻酔はポピュラーでその利用範囲も広い麻酔です。腰から脊椎の間に細い針を刺して麻酔薬を注入することで麻酔をします。普通、お臍から下の痛みを取ってしまいます。同時に運動神経も麻痺させるので、麻酔が切れるまでは動けません。当院では、ソケイヘルニアの手術や痔核、痔瘻の手術に用いています。

4. 全身麻酔

麻酔というと恐らく多くの人が全身麻酔、すなわち患者様を眠らせてしまう麻酔を思い浮かべられるのではないでしょうか。
 全身麻酔が安全に実施され手術に利用され始めたのは案外最近のことのようです。現在世界中で安全にしかも長時間にわたって手術を行うことが出来るのも、日本の華岡青洲先生はじめ多くの先人達の努力の賜と言えます。
 全身麻酔では、静脈麻酔剤とガス麻酔を組み合わせて患者様に眠っていただきます。その後筋肉の緊張を取る薬を注射し、呼吸の道である気道を確保のため気管内に管を送り込んで(気管内挿管)呼吸器につなぎ、呼吸をコントロールます。これで麻酔の導入が終了し、麻酔の維持に入ります。
 手術中は麻酔を維持するわけですが、血圧の管理や呼吸の管理、尿量のチェックや筋緊張の程度のチェックといくつのもチェックが必要となります。このために患者様にはたくさんの検査機器がコードとともにセットされることになります。
 手術が終わりに近づくと麻酔を醒ます準備に入ります。これを「覚醒」と呼んでいます。ガス麻酔薬を止め酸素だけを流し、筋肉の緊張を取る薬の作用を打ち消す薬を注射します。次第に筋肉が動き始め自発呼吸が戻ってくると、人工呼吸器から麻酔医の手での呼吸管理に戻します。そして手術の終了後さらに麻酔からの覚醒を続けるわけです。十分に麻酔から醒めて、力も十分出てから気管内チューブを抜きますが、しばらくは厳重に経過を見て、自発呼吸をチェックします。そして十分な覚醒を確認の後、血液ガス分析で正常な呼吸ができていることを確認して手術室から帰ることになります。
 当院では特別の事情がない限り、術直後の夜は看護婦詰め所の隣に設けていますリカバリールームで一晩経過を管理観察しています。こうして術後経過と同時に麻酔後の覚醒状況の管理を行い不測の事態に備えています。

 よく麻酔は飛行機の離着陸に例えられます。麻酔の導入が飛行機の離陸に、麻酔の維持が飛行機の高度水平飛行に、そして覚醒が飛行機の着陸に例えられるのです。実際飛行機の場合のトラブルが離着陸の時に多いように、麻酔でもトラブルは導入や覚醒の時に多く発生すると言われています。当院ではその事実を考慮して、麻酔の導入や覚醒に当たっては可能な限り複数の医師が立ち会うように心がけています。そして、麻酔による事故を限りなく零に近づけるように細心の注意と最善の努力をはらっています。

当院では麻酔標榜医を中心に全身麻酔症例が1,000例を越える経験豊かな医師達が麻酔を行っています。麻酔はあなたの治療に必要な手術に必須の手技のひとつです。われわれは、皆様が安心して当院を受診していただけるよう今後も一層努力を重ねていきます。私たち寺田病院は貴方の健康維持のパートナーです。

当院の遠藤彰医師と大多和泰幸医師は麻酔標榜医の認定を戴いています。

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以上、「麻酔のお話」でした。皆様の健康を願います。

 
Terada Hospital